2011年個人的アニメベスト5覚書き

さぁ、新年明けました。今年もなんとかやりきろう2011年個人的アニメベスト5。
というか単なる備忘録。

1.ハートキャッチプリキュア
ハートキャッチプリキュア!【1】 [DVD]

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デューンとの最終決戦からの流れは何度見返しても感動でうち震えて涙します。

プリキュアシリーズは、作品の長寿性と、人間の成長を描くことの相反のジレンマから解放された作品と思うわけです。
セーラームーン」では恋→結婚→出産を匂わせるセクシャルな成長を、学年が上がっていくというステップを踏んでゆっくり描いていました。しかし、セクシャルな成長は大きいお友達の興味の減衰を免れないし、女の子のターゲット年齢も上がって行って新規視聴者が入りにくくなり、またターゲットになっていた既存の女の子も自身の成長と共にアニメ以外の部分へと興味が移ってしまうので、セーラームーンは必然的に作品的な寿命を迎えて終了した、というのが私見です。
以降、少女アニメはその長寿性においてセーラームーンを打破できない状況がしばらく続いた訳ですが、それを打破しようとしたのが「おジャ魔女どれみ」。セクシャルな成長表現は巧みに避けつつ、人の気持ち/痛みを理解するということ、こどもの目線から大人と向き合うということ、また大人の目線からこどもと向き合うということ、そういったものが、背伸びをしない小学生像で真っ正面から逃げずに描かれました。そんなおジャ魔女どれみも、人間の本質的な成長を描く作品の性質ゆえに学年が上がって行くという事は避けられず、主人公のどれみ達の小学校卒業を機にその作品の寿命を終えたわけです。
そしてプリキュアシリーズです。ナージャでぼこぼこになっていた東映アニメが作り出した低予算少女向けアニメです。出発点は2人組で格闘物の異色作でした。ところが、そのコンセプトが受け、作品は小さい女の子と大きいお友達を中心に大ヒット。飽きられれば2人組の格闘物のコンセプトは受け継ぎつつ、主人公/製作スタッフを変えて行けば毎年新しい刺激があって飽きない。面白い。
少女アニメはプリキュアをもってして遂に作品の長寿性と人間の成長を描く事を両立することに成功したのです。
そんなプリキュアシリーズの7年目。ハートキャッチプリキュアは、その作品コンセプトを利用しつつ、おジャ魔女どれみが4年かけてやってきたものを1年に見事に凝縮、昇華させたように思います。
主人公の花咲つぼみが、どれみが最初から持ち合わせいた天性とも言える慈愛、人の痛みを理解し、寄り添う心を、パートナーである来海えりかと友達になる事で手に入れる"過程"から描かれています。しかしその描写自体は非常にさらっとしたもので、変にトラウマの描写やねちっこい引き延ばしでは描かれません。人は人と出会う事で成長して行く。最初から何者かであるわけはない。そういった事を非常に心地よいテンポでみせてくれました。
そんなつぼみ達が最後の強敵デューンを倒したものはゆっくりとした優しい拳の一撃。

「くらえ、この愛!」

と。お見事でした。


2.THE IDOLM@STER

ハートキャッチに負けず劣らずの愛の作品。とは言っても、作品内の登場人物の愛ではなく、作品内の登場人物への愛、が際立っていたのが本作です。原作ゲームの発表から約10年。ニコニコ動画を経由して数多のファンサブ作品が生み出され、ファン主導によるコンテンツ製作が人気を支えていた本作にとって、真正面からのアニメ化によって”公式の見解”を入れこむ事は、他の作品以上にファン同士の創作意欲を阻み、作品を衰退させる原因となり得たはずです。そういった意味で、旧来ファンの作品に対するハードルは非常に高いものでした。かと言って、そうしたコアファンにおもねり過ぎると、新規顧客の獲得機会を失い、作品の先細りを防ぐ事ができなくなってしまいます。製作の舵取りは非常に難しかったはずですが、結果的にはそうしたジレンマを本作は完全に吹き飛ばしてみせました。登場人物一人一人のドラマは本当に丁寧でしたし、プロデューサーの存在感のバランス感覚も見事です。アイドル達が地道に、しかし着実に売れて行く時間軸の描写も良リアルタイム視聴のスタイルと相まって納得感の高く、またどんどん新しいステージへと進んで行く彼女達に我々視聴者は魅了されました。全体的なドラマの盛り上がりとして春香をフィーチャーした分、前半での彼女は、良い意味で空気っぷりが徹底していたのも凄まじいバランス感覚です。ヒロイン全員を愛するアイマスファンと、初めてアイマスに触れる視聴者への盛り上がりの提供を両立させるという難題をこういった形でクリアした訳です。
最終回は、それぞれドラマを乗り越えた主人公"達"が刻む最高のライブステージで幕を閉じた本作ですが、最後まで完璧なアイドル作品でした。

3.放浪息子
放浪息子 1 [Blu-ray]

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女の子になりたい男の子、というあまり無いコンセプトの作品。しかし、コンセプトそのものよりも、その異質な性癖を抱えた人間を間近に迎えた周りの人間の心情、そしてそれを乗り越えようとする主人公の強さの描写が素晴らしかったです。ひたすら丁寧に胸の奥が抉られるような心理描写を出しておりました。
安那ちゃんは2011年のベストヒロイン。



4.輪るピングドラム
輪るピングドラム 1(期間限定版) [Blu-ray]

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生存戦略ー!」で人類の度肝を抜いた作品。幾原節全開の人の記憶に残る仕掛けをふんだんに施されています。
エヴァンゲリオンが、自身の力による(壮大な)自己肯定の話であったとすれば、本作はそれは人に愛される事で初めてなされるんだよ、という視点で話が進んで行きます。
自己肯定に至る物語を、エヴァから一歩先もしくは別の道からアプローチできたのは結構お久しぶりなんじゃないでしょうか。
ただ、桃華の日記って結局何だったのかとか、いまいち整合性というか納得感が薄い場所が散見されたのが少し残念でした。自分の理解不足というのも当然あるでしょうが、それにしたってもう少しなんとかならなかったのかなぁ、と。


5.日常

京アニ作品としてはフルメタルパニック・ふもっふ以来のヒットです。けいおん!なんて眼じゃないと思うのですがどうでしょう。
原作のテンションと違うという意見を結構目にします。しかし、私も原作第1巻からずっと読んできたくちですが、個人的には完璧な再現だったと思います。たぶん、漫画を読むスピードとか呼吸感が人によって違っていて、たまたま自分の呼吸と監督の呼吸があっていた、とか、そこら辺が理由なんだろうとは思いますが。
全力になったときのみおが好きです。。



次点としては
うさぎドロップ」、「あの花」、「タイバニ」、「まどマギ」辺り。
特にうさぎドロップは紅以来の大ヒット幼女アニメでした。
あの花は長井監督がその地位を揺るぎない物にしたという意味で代表作になったと思いますし、タイバニは仕事の関係もあって印象深いです。おじさんが主人公と言うのも○。
まどマギは正直どうしてあそこまで評価されているのか分からない部分があるのですが、作品のインパクトとしてはリストアップから外せません。しかしまどかに最後まで感情移入できなかったんですよねぇ。。あのラストに至れる人間がどうしていつまでも魔法少女になるのを怖がるんだろうか、と。最後まで魔法少女にならないほうがいっそ人間味があってよっぽど面白かったと思うわけです。もしくはそう言う話が好きな訳です。


2011年は全体的に、どうしてこれが売れるんだ・・・と世間が分からなくなってきた1年でもありました。2010年までは、好みではなくても「これはウケる」と何となく思った物と実際にウケたものが一致していたのですが、今年からはその感覚がズレてきています。年を取ってきたって事なんですかねぇ。。。こうやって少しずつ「最近の若い奴は・・・」とか言っちゃう大人になってしまうのかな、と少し感傷的になったりならなかったり。


とはいえ、個々の作品のレベルは凄く上がっているのは感じています。
そう言えば今年は劇場版を挙げてないですね。。。けいおん!劇場版もまだ観ていない。
2012年はエヴァQがあるので期待大ですね。

あとリストアップした全体俯瞰してみると愛を描いた作品を好む傾向がありますね。
愛に飢えているんでしょうか。