老いも若きもみんな肯定してみんな気持ちいい:サマーウォーズ

めちゃめちゃ面白かったですね。以下、ネタバレ含みつつ所感です。

サマーウォーズ 絵コンテ 細田守 (ANIMESTYLE ARCHIVE)

サマーウォーズ 絵コンテ 細田守 (ANIMESTYLE ARCHIVE)


なんだか思うところはいっぱいあるのですが、とにかくもう細田守はもう完全に時代の寵児だなぁと。結局このサマーウォーズってなんだったんだと考えると、2000年代後半っていう時代を切り取った時点の視点で下は0歳児の赤ちゃんから上は89歳のおばあちゃんまで全世代を肯定することができた作品だって思うんですよね。



インターネットでコミュニケーションをとる新世代と、アナログ的なつながりを重んじる旧世代のジェネレーションギャップから生じるフラストレーション(大人は分かってくれないとか、最近の若者はーとか、家族って面倒くさいとか、子供の考えてることが分からないとか、ゲームばっかりやってるんじゃありませんとか、)を、どちらか一方の視点ではなく、家族のつながりっていうパワーで新生代も旧世代も融合させてどっちも肯定しちゃってるんですよね。で、肯定(否定じゃなくて)してるから、きっとどの世代が見ても気持ちよく感情移入できて楽しめちゃう、と。もう見事だなぁと思うわけです。

宮崎駿は小さい頃の記憶とか自然の美しさとか、古くて暖かくて大切なものを描くことで、アニメをよく知らない人間も楽しめるような大衆作品を生み出してきましたが、細田守はその宮崎駿の味に、ここ10年の間の情報革命で一般化してきた新しい生活観/価値観を付加して描いたところが大きいんじゃないでしょうか。
人の生活は変わっていきながら、でも命はつながっているんですよ、という感覚を今の時代のフォーマットで描き切った。これって今の宮崎駿にはたぶん出来ない凄いことだよなー、と思うわけです。



ちなみにネット界隈ではキングカズマにノックアウトされた人が多いようですが、自分は完全に侘助でした。栄おばあちゃんのあれを夏希から知らされる侘助のシーンでもう一発KOでしたね。

大好きなばあさんに恩返しをしよう、認めてもらうんだって足掻いてきた過去とか、それが認められなかった悔しさとか、認められなかったからって子供みたいに飛び出してしまう甘えとか、そういうのが全部ひっくるめて完全にあの瞬間に無くなってしまったっていう絶望感がもう凄くてですね、、、ほんと、、、あそこはなんか色々こみ上げてきますね、ほんと。自分もまだ全然親に恩返しが出来てないんで。

またあそこは侘助に話を聞いて欲しいのにそれが届かない夏希のもどかしさと切なさがセリフに凄くリアルにのってて、それが拍車をかけていいシーンにしてるんですよねー。


とまぁなんかまとまり無い感じですが、とにかく細田監督ありがとうございましたということで。
生きてるうちにたぶんあと10回以上は観ます。そんな作品です。